気付き。
風邪を引いてみたこの頃。
熱もなく咳も特に出ないので、市販薬を飲みながらの治癒に専念。
元々あまり自分の感情や気持ちを言葉にしたり態度に出すのが苦手なので、第三者っぽく自分を観察みたいな事をすることが大好き。
小声な彼を好きだと思い始めたのは、その前の消化不良な学生時代の恋を結局失ったことの、いわゆる穴埋めな気がしていた。
よく言う、失恋には新しい恋!
みたいな。
こんな不貞な関係に、失恋だとか新しい恋だとかどうかしてるのかもしれないけれど、やはり感情には蓋は出来ないそんな自分。
いわゆる一線は越えていないから…
そんな想いで、会ったり電話したり。
そんなある日の電話で。
「風邪引いた」
そう伝えて。
「大丈夫?心配だな。」
そんな言葉が聞けると思っていたのだけれど。
第一声は
「仕事へは行くの?」
だった。
たかがただの風邪くらいでお休みなんてしようと思わないし、それが普通だと思っていた。
しかし彼にコンコンと言って聞かされた。
「まずは職場に電話をしなさい。
風邪を引いたこと、インフルエンザではないこと、熱も咳も出ないこと、ただ鼻水が止まらないとか頭痛があるとか、現在の症状は伝えること。
無理して出て行って、誰かにうつすとか、最悪お客様に嫌な目で見られるとか、そういう事の発端になることへの危険性をあまりに甘く捉えすぎてない?
頑張って出てきて偉いでしょ?みたいな顔はしないだろうけど、体調悪そうなのにゴメンねみたいな事を、周りに気を遣わせるのはどうかと思うし、それはして欲しくない。
冷たいと思うかもしれないけど、俺は身内にはきちんとした人でいて欲しいと思うから。」
いつもな小声じゃないむしろやや電話離しても聞こえるんじゃないかくらいのテンションで。
一気にまくし立てるような感じで。
こんな風に感情的に気持ちを言葉を伝えられた事がなかったので、正直かなり面喰らった。
年明け早々に体調を崩してお店をお休みしていた彼。
個人で経営していれば、自分の身体がそのまま資本となる。
代わりになる人などいない。
私の職場もそうだし、分かってはいたし、それは常に考えてはいる。
けれど、きちんと伝えるということを怠っていた。
予約状況、お店の状況。
そういったところまでの配慮が欠けていた。
体調の悪いスタッフがいれば私のせいで悪化することだって決してゼロではないのだ。
結果、すぐにお店へ連絡し、予約状況的には忙しくなりそうなので出勤はする事となった。
風邪を引いたことは良くない事だったけれど、その後の対応、報告し連絡し、相談してきたことをものすごく感謝された。
そういう危機管理は個人店を経営している上では実に有難いと。
そして私は確信した。
誰かを忘れたくて、とか。
失った恋の穴埋めとか。
もうそんなのどうだっていいし、例えそうだったとしても、私は彼が大好きだ。
風邪ソッコーで治すから、逢いたいって次の電話では大きな声で伝えよう。